ビオター 75mm f1.5、戦後型の前期タイプ。コンパクト鏡胴。製造番号323xxxx。エキザクタマウント。マニュアル絞り。Tコーティング付。
Carl Zeiss Jena製のハイスピード中望遠レンズ。4群6枚構成のダブルガウス型。距離表記はfeet。本品はアルミ鏡胴で、本体重量は403g。
淡く美しいパープルのTコーティングが施されています。絞り羽根は18枚。最短撮影距離は3.5feet(1メートル)。
1941年11月に出荷された一本。ビオター 75mmには様々な鏡胴バリエーションがありますが、同時期には同じ鏡胴のデザインで、真鍮にクロームメッキバージョンも少数製造されていました。このモデルの後にプリセット絞りとなり、鏡胴がどっしりと太くなります。
近年は復刻版も発売され、変わらぬ人気を博している銘玉ビオター。画面中心部はしっとりとしながらもシャープで解像感のある描写、またぐるぐると渦巻くボケ味。色味も良く、独特の雰囲気漂う立体感のある描写で、ポートレート撮影にも好適。オールドレンズらしい味わいです。
コンパクトなアルミ鏡胴タイプで操作もしやすく、実に撮影が楽しいレンズ。特徴的なレモン型のボケを伴う、絞り開放付近の描写も面白い一本。
絞り指標の下に一箇所小さな凹み、他にごくわずかな擦れは見られますが、アルミ鏡胴のビオターとしては、とても綺麗な個体です。
2025年3月にフルOH済。絞りとヘリコイドはしっとりと潤いに満ちた感触に仕上がっています。
ガラスはビオターの例に漏れず、中玉には製造時からの小さな気泡がやや多く見られます。拭きキズやクモリは見られず、スカッと綺麗に抜けています。これだけ綺麗なガラスのビオターはレアでしょう。
Carl Zeiss銘の純正前キャップ、ケース、元箱が付属します。
本品は往時ニューヨークのカメラ店にて、エキザクタボディとセットで販売されたようで、このビオター75mmを装着したエキザクタボディ用革ケースと元箱が付属しています。エギザクタとビオター75mmレンズがセット販売されていたと言う、興味深い証拠ですね。