田中光学工業製のレンズ交換式レンジファインダー機。ライカコピータイプ。
ライカ M3にインスピレーションを得たと思われる、独自の三爪バヨネットを採用しつつ、自社製のライカスクリューマウントレンズをアダプターを介して装着するという、凝った構造をしています。
1958年12月から1959年と言う、ごくわずかな期間生産されました。総生産台数は約1000台と言われています。残念ながら田中光学は、この1959年に倒産してしまいます。
前モデルの珍品、タナック SDの基線長60mm一眼式等倍ファインダー、レバー式巻上げ、クランク式巻戻しを踏襲しており、使い易さは以前のモデルより大きく向上しています。
裏蓋がヒンジで開閉する構造が引き継がれており、こちらも使い易く好印象。小メーカーながら、独自の工夫が詰め込まれており、意気込みを感じさせるカメラです。ちなみに50mmレンズは大口径f1.5の他、f1.2もごく少数製造されていました。
標準のタナー 50mm f1.9、広角のWタナー 35mm f3.5、テレ・タナー 100mm f3.5の3本が付属。いずれもライカLマウント、距離計連動です。
当店販売品です。お客様に大切に使われ、この度当店に出戻って来ました。
目立った傷も見られず、ボディもレンズもとても綺麗な外観です。35mmレンズは鏡胴に少々擦れが見られます。
2023年にボディ、レンズ3本のオーバーホール済。カメラ本体はシャッター幕交換、モルト交換、各部の整備・調整を行っています。レンズはエレメント清掃、グリス交換、ピントチェックを行い、35mmレンズはピントも調整済です。
50mmと35mmレンズには、軽微な拭き傷やコーティングの傷み、ルーペで見て分かるほどのわずかなカビ痕が見られます。100mmレンズは拭き傷も見られず、スカッと抜けています。いずれのレンズにも撮影に大きく影響を及ぼすような劣化は見られません。国産ライカコピー機としては、ボディ、レンズ共にかなり綺麗です。
タナック銘の純正前キャップがレンズ3本とも付属。並べるとなかなか見事なセット。やや稀少。