ニッコール P.C 85mm f2、後期型。本品は、鏡胴に「C」の刻印があり、稀少なレンジファインダー・コンタックス用。製造番号は、401xxx。シリアルの末尾には「:」が刻まれています。
1948年発売の後期型、黒鏡胴モデル。距離表記はfeet。3群5枚構成、典型的なゾナー・タイプ。10枚羽根の円形絞り。ズシリと重い、しっかりとした作りのレンズです。
絞り開放ではやや柔らかい描写ですが、f4付近まで絞り込むと一気に鮮鋭な描写となります。
1950年、三木淳氏がライカ IIIcにニッコール 85mm f2を装着し、D.D.ダンカン氏のポートレートを撮影、それを見たダンカン氏は絶賛、朝鮮戦争で大いに使用し、それを見たライフの仲間や他の写真家もこぞって使い始めたと言われています。日本製レンズの優秀さを世に知らしめるきっかけとなった、記念碑的なレンズです。
マウント基部の赤点付近に1箇所の小さなアタリが見られますが、他は使用感見られず綺麗な外観です。
各部の動作正常です。ヘリコイドは少々重めです。整備を希望される方には別途有償にて整備を承ります。
ガラスは拭き傷やクモリも見られず、とても綺麗です。強いLED光にかざすと僅かなコーティングの傷みが見られますが、撮影への影響はまずないでしょう。総じてかなり綺麗な一本です。