英国ダルマイヤー社製のスーパーシックス 2inch f1.9。
生産本数の少ない、スーパーシックスのオリジナル・ライカスクリューマウントの中でも、更に稀少なブラックペイントバージョン。1935年頃の製造。
銘板にはJ.H. Dallmeyerと美しい筆記体で刻印されており、黒塗り好きにもたまらない一本。当時非常に高価だったランタンガラス等を採用し、f1.9と言う非常に明るいf値を実現。4群6枚構成の変形ダブルガウス型。前キャップは36mmかぶせで、A36エルマー等と同じです。本体重量は249g。
距離表記はfeet。最短撮影距離は約1m。本品はノンコートレンズですので、鏡胴にDCマークは刻印されていません。
DSS(ダルメイヤー・スーパーシックス)50mmのライカLマウントには、この初期のJ.H.Dallmeyerの筆記体刻印、真鍮にブラックペイントバージョンに始まり、真鍮にクロームメッキ、アルミ鏡胴、ノンコート&コーテッド等々、製造本数は非常に少ないながらもバリエーションは多く、それなりに長く製造されたようです。
本品は真鍮にブラックペイントで、ヘリコイドリングはアルミ製。長年の使用により黒塗りは剥げていますが、使い込んだライカM型ブラックペイントなどには最高のマッチングでしょう。
コンパクトで控えめな佇まいながら、実に良い描写を見せます。
絞り開放付近ではソフトでしっとり優しい描写、f2.2付近まで僅かに絞ると結像感やボケ感も素晴らしい描写を見せます。当時も美しいボケと立体的な描写で、高い評価を受けていたそうです。また、本品は距離計連動もバッチリで、撮影に没頭できます。
数あるノンライツレンズの中でも、かなり入手が難しい一本。コレクションにもどうぞ。珍品。
長年の使用により、ブラックペイント部の剥がれが見られ、実に精悍な佇まい。コンパクトなレンズながら、独特の存在感。ヘリコイドの距離指標部はアルミに黒塗りされており剥げが目立ち、指標はやや読み取りにくいです。アタリや凹みは見られません。
2025年にフルOH済。絞りやヘリコイドの作動感は非常に滑らかに仕上がっています。ガラスは前玉にごく薄い拭きキズが少々見られますが、クモリ等は見られず、スカッと抜けた綺麗なガラスです。
入念な整備により、指標の3.5feet(1m)から無限遠まで距離計連動バッチリに仕上がっています。
試写結果、大変良好でした。試写館をご覧頂ければ幸いです。