ライカ・ノクトン 50mm f1.5。ライカスクリューマウント。フォクトレンダー社製。本品は中〜後期型、製造番号は327xxxx。1951年に製造された一本。クセノン 50mm f1.5を設計した、トロニエ博士による設計。
5群7枚構成。ヘリコイドの距離表記はfeet。重量は実測で326g。
ノクトン 50mm f1.5は1950年代始めのプロミネント用が良く知られていますが、ライカLマウントも少数作られました。かなりの珍品ですが、コンタックス・マウント、またレンズ構成は若干異なりますがレクタフレックス用なども存在します。
余談ですが、プロミネント用標準レンズと同様に、Nokton 50mm f1.5の他にColor-Skopar 50mm f3.5、Ultron 50mm f2のオリジナルLマウントも存在します。
スタイル、描写共に、古今東西数多あるノンライツ・レンズの中でもトップクラスの人気を誇るこのライカ・ノクトン。製造期間の短さの割には実に多くのバリエーションがあり、当店で把握しているだけでも8種類くらいのバリエーションがあります。しかも必ずしも製造番号順に進化している訳ではないようです。一筋縄にはいきません。
本品は黒帯2本、淡いブルー / パープル / イエローのコーティング、銘板がクロームのタイプ。この銘板クロームのバージョンは、近年ではローライフレックス同様White Faceとも呼ばれているそうです。
描写も麗しく、美しいスタイルの稀少銘玉です。
使用感少なく綺麗な外観です。純正プラケースと前キャップも付属しており、大切にされてきた個体であることが伺えます。
2025年1月にフルOH済。絞り、ヘリコイドの操作感は実に見事な滑らかさです。当店の試写&点検用のライカM10-Pでの実写テストでは、絞り開放では5m〜10mぐらいの距離において僅かな後ピン傾向が感じられました。
また、ごくごく軽微ではありますが、前玉の周辺部に沿ってノクトンの持病とも言えるわずかなバル切れが見られます。慣れている人でないと見つけられない程にわずかなもの。中玉にごく浅い線状の拭きキズが数本ほど見られます。いずれも撮影への影響はまず無いでしょう。各面のコーティングがしっかりと残っており、クモリ無くスカッと抜けています。
実写テスト結果も良好でした。試写館に作例を掲載しました。ご覧頂ければ幸いです。