W-コムラー 36mm f1.8、ライカスクリューマウント。三協光機株式会社(後の株式会社コムラーレンズ)製。
メートル、フィート併記。絞り羽根は10枚の円形絞り。絞りリングには穴があいており、絞り値が見えるつくりは28mmと共通の方式。重量は実測で205g。アンバー色のコーティング。販売当時の価格は、ファインダー、フード、ケース付きで16,800円。ちなみに同時期のキヤノン35mm f2は、19,000円でした。
このコムラー 36mm f1.8、1963年春にコムラー28mm f3.5と一緒に発表されたようですが、翌1964年のカタログからは消えており、製造本数はかなり少ないようです。数あるコムラーレンズの中でも最もレアな部類で、その出現頻度から製造本数は多くとも100数十本かと思われます。
焦点距離が何故半端な36mmなのか、大いに気になりますが、35mmと表記できない理由があったのでしょう。
ヘリコイドに通常使用による黒ペイント落ちや小傷が見られますが、目立つ傷やアタリは見られません。
ガラスは、後玉に浅い拭き傷と中玉の周辺部にごく薄いクモリ、前玉側の中心部に小さな円状のバルサム切れが見られますが、実写には影響無いでしょう。レンズ各面のコーティングはしっかりと残っています。
実写テスト結果も大変良好でした。絞り開放から中心部はクリアで抜けの良い描写です。中間部から周辺部にかけてはしっとり柔らかなボケで、周辺落ちも相まって雰囲気ある写りが味わえます。2段程度絞ると周辺落ちも解消し、端まで繊細な線で結像してきます。試写館をご覧頂ければ幸いです。
本品には、オリジナルの前キャップの他に、以前のオーナーさんが特注した、フィルター組み込みの美しいワンオフ製作フードが付属します。
珍品。
参考「クラシックカメラ専科No.50、ライカブック'99」113ページ。