Hugo Meyer社製のキノ・プラズマート 50mm f1.5。GoerlitzとNew Yorkの刻印。プラズマットは、アナスティグマートやプラナー、テッサーなど名だたる銘玉を世に出した、パウル・ルドルフ博士設計による銘レンズ。
本品の製造番号は29xxxx。1925年頃の製造でしょうか。鏡胴はブラック&ニッケル。4群6枚ながら、レンズ中心に凸レンズが向かう独自の構成です。その独特の描写で昔から大変人気があります。
本品は映画用と思われるレンズヘッドを、ライカ・スクリューマウント用に改造した一本。
20年以上も前に当店にて販売した個体ですが、長らくお持ちだったお客様がお譲りくださいました。その当時でもかなりレアなレンズだったことから、販売時の記憶も朧気に残っており、実に嬉しい再会です!
現在から見れば今ひとつな改造でしたので、今回OHと共にイチから再改造して頂き、描写や連動性能、デザイン共に素晴らしい一本に仕立て上がりました。純正フード、イエローフィルター、元箱付。
黒塗装に多少の剥げは見られますが、改造部分と合わせて美しい外観。まるで純正品のような佇まいです。
2023年9月にフルOH、及びMマウント改造を行いました。20数年前の販売時にも綺麗なガラスでしたが、現在も拭き傷やクモリも見られず、スカッと抜けたとてもキレイなガラスです。
また、プラズマート系は内面反射に悩まされるレンズですが、今回のフルOHの際に内面反射防止艶消しラッカーを丁寧に再塗装しており、不要なフレアを抑え込んでいます。
近接付近ではコントラストが立つ面と解像力がある面のずれが目立ち、前ピン傾向のつもりで撮影をされるのが吉でしょう(ライブビューで感覚を掴みながら撮影されることをオススメします)。
また、ガラスの状態の良さも相まって、抜けの良い描写を見せます。
絞り開放から撮像中心部の高い解像力を発揮し、見事な立体感。近接では強烈なぐるぐるボケが現れます。絞り込んでも周辺はやや流れますが、解像力はしっかりと立ち上がります。独特な描写が楽しい一本です。
試写館をご覧頂ければ幸いです。同じシーンでの作例は一段ずつ絞り込んでいます。他は絞り開放での撮影です。