ズミクロン 35mm f2、クローム鏡胴。通称8枚玉。ドイツ製。本品はフィルター枠がアルミ製の初期モデル、1958年製造。
本品の製造番号は16307xxで、1630501から始まる8枚玉の最初期ロットのうちの一本。ちなみにこのすぐ後から、M3用のブラックペイントバージョンも登場してきます。
ライツの製品コードは、SAWOM、後に11308。最短撮影距離は0.7m。フィルター径はE39。
本品はL/M共用タイプ。イモネジを緩めMマウントのリングを外すと、ライカLマウントが現れます。M型ライカとバルナックの両方で楽しめる8枚玉。
絞り開放の柔らかな描写が象徴的ですが、少し絞るとグッと立体感が高まり、更に絞り込むとやわらかさを保ちつつ鮮鋭な描写へと変化します。撮影表現に幅のある優れたレンズ。
描写の素晴らしさのみならず、ドイツの工業製品らしい機能美あふれるデザインも魅力です。近年8枚玉の人気は高まるばかりで、年々良い個体も少なくなってきました。
純正フードはITDOO、またはIROOA等が適合します。後の12585や12504も装着可能です。
鏡胴先端のアルミ部全周にフードの着脱による細かな擦れ、またヘリコイドやレンズ基部に薄い擦れ傷が見られますが、アタリや凹みは見られません。
2025年9月にフルOH済。入念な整備により、絞りリングは滑らかな動きながら節度のあるクリック感、ヘリコイドもスムーズな動きで操作感抜群の仕上がりです。距離計連動もバッチリ。
中玉周辺には強力なLED光に照らすと薄い拭きキズが少々、また中玉に点状のコーティング劣化がやや多めに見られますが、撮影への影響はまずないでしょう。他、クモリやカビ等は見られません。ガラスも各面にパープル基調の美しいオリジナルコーティングが残っています。
実写テスト結果も大変良好でした。初期モノならではのキレやピントの良さを感じるのは、初期モノ好き故の贔屓目でしょうか(笑)
試写館に作例を掲載しました。ご覧頂ければ幸いです。
純正前後キャップが付属します。前キャップも時代の合った紫別珍の初期モノです。
