ライツ・クセノン 50mm f1.5、前期型。本品は銘板にTaylor-Hobsonの刻印が入ったモデル。イギリス向けに出荷された一本と思われます。刻印は多く入っていればいるほどエラい!とも認識されるライカコレクター界隈では、なかなか威張れるレンズです(笑)
ライツの製品コードはXEMOO。製造番号28万台。ライカクセノンは1936年から1950年にかけて製造されました。本品は製造初年度の1936年製、ヘリコイドリングにローレットが2本入った初期タイプ、通称「ツーバンド」。六角形の絞り羽根を採用し、光学構成は5群7枚。ノンコート。絞り指標は大陸式(f1.5、1.6、2.2、3.2、4.5...)で、最小絞りはf9。距離表記はフィート。
フィルターはE41や、かぶせ式のXOOFBが適合します。
クセノン f1.5はトロニエ博士の設計による、戦前のライツを代表する大口径レンズ。シュナイダー社製造で、生産本数は約6,000本と多くはありません。また、ツァイス・イコンの銘玉ゾナーに対抗する存在でもあり、当時は非常に高価なレンズだったようです。
ライツの大口径標準レンズとしては、後に登場したズマリットやズミルクスの影に隠れがちですが、絞り開放から繊細で柔らかい描写を楽しめる銘玉です。
鏡胴先端のフード取り付け部に着脱による擦れがみられます。また、各部に薄い擦れは見られますが、製造から90年を経たライカクセノンとしてはかなり綺麗な外観です。目立った傷やアタリも見られません。
2026年3月にフルオーバーホール済み。丁寧な整備により、重くなりがちなクセノンの絞りリングやヘリコイドの操作感は、共に非常に滑らかに仕上がっています。内面反射防止の艶消しラッカーも丁寧に塗り直されており、本来の描写が期待出来ます。
前後玉には、ごくごく薄い拭きキズが数本と、経年によるガラスのヤケが若干見られますが、実写にはほとんど影響ないでしょう。クリアで抜けも良く、クセノンとしてはとても綺麗なガラスです。
逆光にはやや弱い戦前のノンコートレンズですが、アンダー目なシーンでは実に味のある描写を見せてくれます。試写結果も大変良好でした。
純正前キャップが付属します。