ライカ IIIf、スウェーデン軍用モデル。ブラックペイント。
1956年、黒塗りの特別仕様のライカIIIfが、製造番号822901〜823000の100台足らずが製造され、鏡胴までもが黒いオールブラックのエルマー 50mm f3.5と一緒に、耐寒仕様でスウェーデン軍へと納入されました。
また、通常製造番号685000以降のライカ IIIfは、セルフタイマーが標準装備ですが、本品はセルフ無しの特別仕様。エルマー 50mmは製造番号142万台、軍用ボディにもちろんマッチング。
このIIIfスウェーデン軍用には、ボディ、レンズ共に王冠マークが入らないのが、後のIIIg軍用と異なるポイントです。
フルオリジナルのIIIfスウェーデン軍用ですが、エルマーの近接 / 無限遠ストッパーやスローシャッターのロックボタン、シャッターカラーがクローム仕様となっています。他のIIIfスウェーデン軍用でも、これらがクロームとなっている個体は散見されますので、当初からのこの状態であると見て良いと思います。各部のブラックペイントは長年の使用により、実にシブく使い込まれています。貫禄溢れる一台。
このIIIf黒にしろIIIg黒にしろ、91万台のM3ブラックカウンター等にしろ、スウェーデンはストックホルムのBrandt経由で納入されたブラックペイントライカ群は何故にこんなにカッコイイんですか?と、その昔スウェーデンのブラックペイントコレクターに訊ねた事があります。この時代のスウェーデンでは黒が美徳、カッコイイと言う空気があったそうで、発注者のセンスでとにかく黒くと注文したのでは?との彼の答えに、妙に納得した記憶があります。
こんな格好いいライカを後世に遺してくれて感謝です。
トップカバーのLeicaロゴ左付近に一箇所、底蓋に一箇所、軽微なアタリが見られます。他、各部のブラックペイントは長年の使用によりそれなりに剥げていますが、実に雰囲気のある落ち方です。
2025年にボディ、レンズ共にOH済。各部の作動快調です。同じIIIfでも、ブラックペイントだとより各部の操作がしっとり感じるのは贔屓目でしょうか。ファインダーの見え味もスカッとクリア、コントラストもしっかりしています。レンズは後玉に拭きキズがやや多く見られます。ピント、距離計連動は良好です。グッタペルカは欠けも無く良い状態です。
珍品。