アンジェニュー 50mm f1.5、Type S21後期型。世のレンズマニアの羨望を一身に集める、美しい佇まいの大口径レンズ。本品はエキザクタマウントながら、ワンオフ製作の距離計連動アダプターが装着されています。
アンジェ 50/1.5 Type S21のオリジナル・ライカスクリューマウントは、製造数は多くても数百本で(おそらくヘキサノン 60/1.2と同じくらいでしょう)、入手は非常に困難、かつ高価です。本品は丁寧な改造により、S21をライカM型距離計連動で使える夢の1本。
1959年製。meter表記。プリセット絞り。ダブルガウスの4群6枚構成。梨地シルバーのバンドが、黒鏡胴の良いアクセント。黒いカメラに装着するとホレボレする格好良さ。本品はオリジナルを尊重した可逆改造により、アダプターを外せば元のエキザクタマウントに戻せます。
ライカで使う際には、S21側のヘリコイドは無限遠の位置に固定し、アダプター側のヘリコイドでピントを合わせます。なお、ライブビューやミラーレス機では両方のヘリコイドを繰り出せば、レンズ先端部から約30cmまで接写が可能です。
5年ほど前、当店でエキザクタマウントとして販売した一本です。お客様に大切に使われ、この度当店に出戻ってきました。今回の再販売にあたり、再度フルOH 〜 Mマウント改造を行っています。
かなり綺麗な外観です。鏡胴先端のフチに軽微な塗料落ちが見られる程度で、全体的に黒々と塗料が残っており、このレンズならではのデザインが光ります。アンジェニュー後期型の梨地クロームのバンドも美しい状態。
ワンオフ製作のアダプター部は質の良いアルミで作られており、レンズ本体と一体感バッチリな仕上げには感服するばかりです。
レンズ本体は2020年にフルOHを行っていますが、万全を期すべく2025年9月に再度フルOH済。絞り、ヘリコイドの操作感は非常に滑らかです。アダプターを介した距離計連動もしっかりとしています。近接付近でごくごく僅かに前ピン傾向が感じられますが、実用できる精度が確保されています。実写テスト結果も大変良好でした。
前玉には整備では除去しきれないカビ跡がわずかに残っていますが、撮影への影響はまず感じられないでしょう。オリジナルのコーティングも各面にしっかりと残っています。
試写館に作例を掲載しました。絞り開放付近での美しい滲みと上品なボケを伴う描写が素晴らしく、足利方面の旅路がより楽しいものになりました。全て距離計にて撮影しています。
純正前キャップ、ティッフェン製フィルターリングを介して装着できる非純正のフードが付属。試写の際にも大活躍でした。
珍品。