日本光学製 W-ニッコール・C 35mm f3.5。612。Nippon Kogaku Tokyo。連合国軍占領下での日本製造を示す、Made In Occupied Japan (MIOJ) 刻印が、後玉の周辺に小さくひっそりと刻まれています。
捨て番612が付されたのがこの最初期型で、ニコンI型が発売された当初、僅か125本程度が製造されたと言われています。本品はその105本目として供給されたもの。1948年製。なお、ニコンI型とともにデビューしたレンズは、35mm f3.5、50mm f2とf3.5、85mm f2、135mm f4の5本でした。
レンズ構成は3群4枚構成のテッサータイプ。初期の淡いコーティングが施されています。最小絞り値はf16。最短撮影距離は3feet。言わずもがなfeet表記です。レンズ単体の重量は実測で187g。
本レンズは絞りリングが通常のニッコールレンズとは逆に回転する、初期のみに見られる貴重な特徴が見られます。
使用に伴う擦れも少なく、良好な外観コンディション。目立ったキズも見られません。
2025年6月にフルOH済。絞り、ヘリコイドの操作感はしっとり滑らかです。距離計連動もバッチリ。
レンズ中玉に軽微なバル切れ、前玉周辺部にコーティングの傷みが見られます。各面のコーティングはしっかりと残っており、ガラスの真ん中はクモリ無くスカッと抜けています。
付属の前後キャップは時代の合ったもの。鈍い輝きのクローム仕上げで肉厚な金属製。重厚感タップリ。
珍品。