W-ニッコール・C 35mm f3.5。MIOJ刻印。Nippon Kogaku Tokyo。本品は捨て番910が付された、捨て番612に続くシリーズ。シリアル番号が示す通り、910ロットで9番目に製造された個体です。故にシリアル番号は僅か4桁!!
ニコンM型時代のレンズであり、1949年の製造と推測されます。なお、捨て番910シリーズは、ライカマウントを含め約1800本が製造されたようです。
戦後の連合国軍占領下での製造を示す、MIOJ( Made In Occupied Japan) 刻印は、後玉の周辺にひっそりと刻まれています。この910シリーズより、絞りリングは通常のニッコールレンズと同じ向きとなりました。
レンズ構成は3群4枚構成のテッサータイプ。初期の淡いコーティングが施されています。最小絞り値はf16。最短撮影距離は3feet。いわずもがなfeet表記です。レンズ単体の重量は実測で190g。
稀少な一本。
使用感少なく、大切に保管されてきたことが伺えるコンディション。製造より76年が経過しているとは思えないほどに、綺麗な外観が保たれています。
2025年6月にフルOH済。絞り、ヘリコイドの操作感は見違えるようにスムーズになりました。距離計連動もバッチリです。
中玉にルーペで見てやっと分かる程度のわずかな拭きキズが見られるくらいで、クモリ無くスカッと抜けたガラスです。
付属の前後キャップも時代が合ったもの。鈍い輝きのクローム仕上げで肉厚な金属製。重厚感タップリ。