とんでもなく美しいニコン S、後期型のセットです。日本光学製。ニコンFへと繋がる、その礎を築いたモデルです。ライカ、コンタックスなどとの競合の中、精度の高いボディ、多種多様なレンズ群やアクセサリーを生み出したニコンSシリーズは、カメラ史における金字塔「ニコンF」へとバトンを渡す重要な存在です。
本品のシリアルは61285xx。最後のシリアルが61295xxと言われており、ラストバッチ付近の1台にあたります。製造時期は1953〜54年頃でしょう。
付属レンズはニッコール 50mm f1.4。白鏡胴のクラシカルな出で立ちがニコンSにとても良く似合います。こちらもボディに見合って、非常に美しいコンディション。
後期型は完成度が高く、その後へと続くニコンS2、SP、S3などとも遜色の無いクオリティが確保されています。世界を席巻するMade In Japanの源流が感じられる逸品です。
付属の元箱は紺色の起毛紙、金線ありのもので時代も合っています。付属のボール紙外箱の中に長らく収まっており、紫外線からも遮断されていたのでしょう、ヤケも無く、青色も金箔もしっかり残っており清々しささえ感じる元箱です。また、下箱の底面には、f1.4がセット品であったことを示すスタンプが押されています。
ボディとレンズ共に大変綺麗なもの。ボディ背面部の貼り革にわずかなヨレが見られますが、吊り環を通した形跡は無く、使用感はゼロです。それもそうでしょう、こちらは歴史あるカメラ店が新品時から販売せず長らく大切に保管していた個体だそうで、その後はコレクターさんが大切に所有されていました。
2025年にボディ、レンズ共に新品時以来のOHを行い、リフレッシュ。各部の動作、とてもスムーズに仕上がっています。現代の目線から見ても、まったく遜色のない製品品質となったニコンSの魅力を感じられる1台です。
レンズの中玉の周辺部にごく僅かなクモリ、後玉周辺部に沿って軽微なバルが見られますが、良好なガラスコンディションを維持しています。目に付くような拭きキズも見られません。
元箱、英語の取説、革ケースなど付属品も揃っています。上記のように、元箱の美しさなども特筆モノ。これまで見てきたS型の中でも、とびきりのコンディション。こんなのまず出て来ません。得難い1台です!