日本光学製の広角レンズ、W-ニッコール 25mm f4の後期型。ニコン S用。コンタックス用トポゴン 25mm f4に続いて登場、1953年の発売当時は35mm判カメラ用として世界一の広画角を誇った超広角レンズ。
レンズ構成はもちろんトポゴンタイプ。メニスカスレンズを対称に組み合わせた4群4枚構成。歪曲収差は見られず、絞り開放ではほど良い柔らかさを伴った、明瞭な像を結びます。トポゴンと比較してもかなりシャープな描写です。
なお、このニッコール 25mm f4は、ニコンS用交換レンズの中で唯一ボディのヘリコイドだけでピント操作を行うレンズです。
ブラックペイント仕上げのこの後期型は、前期型よりかなり軽量となったのも嬉しいポイント。レンズ単体は実測で僅か73gと、前期型のおよそ半分程度。
ニコン S型各モデル、特にブラックペイントボディにファインダーやフード付きで装着すると、ルックス最高、眺めているだけでも愉しめます。
ちなみにニコンSマウントの製造本数は、前期と後期型を合わせても300本程度と言われています。なかなかレアな一本。特に専用キャップや専用フードはかなり稀少です。
レンズ先端部には、キャップやフード着脱による薄い擦れが見られます。銘板や内側の距離、絞り表示部分の黒塗りはとても綺麗で、白文字もくっきりしています。全体的に清潔感のある外観で、半艶の黒塗りの美しい質感は健在です。
2025年2月にフルOHを行っており、良好な操作感に仕上がっています。
レンズ前玉にごく軽微な拭き傷が少々見られますが、実写への影響はまずないでしょう。極小のガラスが故に傷だらけの個体が多いニッコール 25mmとしては、かなり綺麗なガラスです。
ファインダーは、クロームメッキ枠上面にメッキの擦れがあり、うっすらと真鍮が見えています。他はガラスを含め綺麗、見え味も良好です。
2分割式でシリーズ7フィルターを挟む構造の、貴重な専用フードが付属します。フード、ファインダーを収納するためのケースも揃っています。更に、英語表記の日本光学発行の保証書、被写界深度表、取扱説明書が付属。コレクションにも好適なセットです。