1928年(昭和3年)製の旧エルマー付ライカ A型。ライツ社のコード名は、記念すべきLEICA。ライカの輝ける歴史はここからスタートします。
本品の製造番号は12xxx。ヘリコイドの距離表記はmeter。最短撮影距離は1メートル。
シャッターレリーズはエクボタイプ。本品はえくぼレリーズ付のA型としては終わりの方の個体でしょう。グッタペルカはLeitz Anastigmat 、Elmax時代から続く、目の粗いタイプ。なお、巻上げと巻き戻しノブは、少し後の背の高いタイプへとアップグレードされています。
エルマーの銘板は、A型初期ならではの可愛らしい小さなフォントです。底蓋はオリジナルのカンヌキタイプ。auf - zuのドイツ語表記ですので、ドイツ国内向けに供給された個体と思われます。
かなり使い込まれた一台。製造からほぼ100年、これほどまでに使い込まれていても、適切な整備さえ行えば、部品交換も必要無く実用コンディションとなる、素晴らしい基本設計や耐久性には感服です。撮って良し、眺めて良し、調べて良しの一台です。
長年の使用により、かなり使われた雰囲気の外観です。ファインダー上部やシャッターダイヤルなどは黒塗装やニッケルメッキが剥げ、真鍮地が見えています。また、巻戻しノブ周辺はやや凹んでいます。グッタペルカは当時の荒シボのままで、欠け等は見られません。
2025年10月にシャッター幕交換を含むOH済。各部の作動快調です。ファインダーガラスの角にカケが多少見られますが、見え味にはさほど影響ありません。レンズ前玉には薄い拭きキズが少々見られますが、実写への影響は無いでしょう。
なお、このライカA型の初期モデル(マッシュルーム&エクボレリーズ)では、巻戻しの際にレリーズを押し続ける必要があります。
また、板金時代のバルナックに稀に見られるのですが、製造当初からフィルム送り用のスプロケットとボディシェルの隙間が広めなため、フィルムの撮影枚数が終わった後も巻上げノブが回ってしまう事があります。撮影開始時にはフィルムカウンターをしっかりと合わせ、規程の枚数が終了したら巻戻しをするという、古のお作法でお楽しみください。
時代の合った純正レンズキャップが付属します。