キヤノン 85mm f1.5。オリジナル・ライカLマウント。1952年登場。本品は1952年製の前期型で、比較的初期の個体。85mm f1.5の製造本数は、セレナー&キヤノン銘、梨地に黒ペイントの後期型を含めても2000本程度と言われています。稀少品。
4群7枚構成。紫と淡い水色のコーティングが施されています。設計者は50mm f1.2、50mm f1.4、50mm f1.8、85mm f1.9などを手がけた伊藤宏氏。ガラスがタップリと詰まった、ずしりと重いレンズです。feet表記。最短撮影距離は1m。フィルター径は58mm。
大口径らしく、絞り開放から豊かなボケを楽しめます。ピント合わせはシビアとなりますが、独特の写りが楽しめるため、つい絞り開放での撮影を挑戦したくなってしまうレンズです。
レンズ単体の重量は実測で754gと重量級のレンズですが、撮れる画の為なら機材の重さなど厭わぬ!と言う向きにはたまらないレンズでしょう。
フード脱着や使用に伴う軽微な擦れや小傷は見られますが、目立つような深い傷は見られません。メッキの腐食も見られず、良好なコンディションを維持しています。
2024年11月にフルOH済です。重くなりがちなこのレンズの絞りとヘリコイドの操作感は、例によって絶妙な仕上がりです。距離計でのピント合わせも非常にスムースで、操作しているだけでも楽しい感触。実写テストでも距離計連動バッチリでした。絞り開放付近では収差が大きく、距離によってはわずかにピントがズレているように感じられますが、クセを見極めながら撮影を楽しまれるのが吉でしょう。
前玉に直径1mmほどのごま粒大のコーティング傷みが一箇所、前玉と後玉にごく浅い拭きキズが見られます。クモリは見られずスカッと抜けています。
試写館に作例を掲載しました。全て絞り開放での撮影。豊かなボケ味がピント面を引き立て、中望遠らしい歪みの無い写りと相まって、雰囲気の良い写真を楽しませてくれます。
純正フード、キャップ、UVフィルター、ファインダー、ケースが付属します。