戦前ライツを代表する大口径高速レンズ、ズマール 5cm。ニッケル鏡胴。本品は、固定鏡胴の初期ズマール(通称ひょっとこズマール)の後に僅かに製造された、先黒ズマールとよばれるモデル。鏡胴先端がブラックペイント。ライツのコードはSUMUS。製造番号は19万台の1933年製。六角絞り。ノンコート。絞り指標は大陸式。距離表記はmeter。4群6枚構成。絞り開放では周辺の流れが見られ、ダブルガウス型らしいボケ味が濃厚なレンズです。
ひょっとこズマールは、エルマーやヘクトールなどと同じく回転ヘリコイドでしたが、この沈胴ズマールからは直進ヘリコイドとなりました。Jim Lager氏の著書によると、当時ひょっとこズマールから沈胴ズマールへの純正アップグレードも行われていたそうです。
ライカ DIIやDIIIと合わせてみたい、ヴィンテージ感溢れるズマール。
沈胴部を含め各部に薄い擦れが見られますが、目立つ傷やアタリはなく、先黒ズマールとしてはなかなか良い外観コンディション。
先端のブラックペイントは360度ぐるっと真鍮が見えていますが、ニッケルメッキは基部のエッジの真鍮が僅かに見えている程度で、鈍く輝いています。
2024年11月にフルOHを行い、絞りリング、ヘリコイド共に動作良好、非常にスムーズな動きに仕上がっています。距離計連動もバッチリ、ピントも良好です。
レンズは前玉に薄い拭きキズがかなり多く見られ、またガラスのヤケ、劣化が見られます。逆光時などには多少描写に影響が見られ、全体的にソフトな印象の写りとなります。試写館にて実写結果をご確認頂ければ幸いです。
ベークライトの純正前後キャップが付属します。
稀少品。