独フランケ&ハイデッケ社製、三眼レフレックス式ステレオカメラ、ハイドスコープ。1925〜40年の製造です。カール・ツァイス・イエナ製のテッサー 75mm f4.5を装備した新鋭機として登場しました。ローライフレックスのご先祖様にあたります。
1914〜1926年頃にかけては、立体写真が世界的に流行していました。ステレオカメラ1機種のみでカメラメーカーとして成立できるとは、今ではとても想像が付かない世相ですね。
使用フィルムは、名刺判の乾板(6x13cm)。乾板フィルム12枚を手際よく操作できるフィルムカートリッジは、操作するだけでも楽しさ満点。当時ロールフィルムが使用出来るフィルムバックも供給されていました。シャッター機構は自製のエアーポンプ式を採用。
テッサーのレンズ番号などから、本品は1929年以降に製造された個体と思われます。フードのF&Hロゴ無し、シャッターチャージや絞り操作ダイヤルがカメラ上部にあり、レンズキャップが前面部にヒンジで装着されているなど、後期型の特徴が見られます。
よくよく観察をしてみれば、f4.5テッサー、見覚えのあるピントフードなど、ローライフレックス・オリジナルとの共通点を見出せます。ロールフィルムホルダーが無いので、現代では撮影が困難ですが、つくりも素晴らしく、眺めて軽く操作しているだけでも楽しい、趣味性の高い一台です。
製造より90年近くが経過していることを考慮しても、非常に良いコンディションが保たれています。貼り革もしっかりしており、ニッケルメッキやブラックペイントの状態も良好です。ボロボロのハイドスコープは時たま見掛けますが、本品はなかなか得難いコンディション!
2025年6月に専門業者さんにてシャッター整備、レンズとファインダーの分解清掃、ピント調整を行いました。シャッターがエアポンプ式のため低速シャッター使用時は、チャージ後2秒くらい待ってからシャッターを切るようにしてください。
撮影レンズのガラスには軽微なヤケが見られます。目に付くような拭き傷は見られません。
ローライフレックスの原点、ザ・クラシックカメラ。コレクションにどうぞ!