フランス、P.Angenieux社のアンジェニュー アリター 50mm f1.8。Type S1。1949年製。
コンタックスS、レクタフレックスに続いて、世界で3番目にプリズムファインダーを搭載したスイスの一眼レフ、アルパ・プリズマレフレックス用のアリター 50mmを赤エルマーの鏡胴を用いて改造した一本です。
ライカスクリューマウント。距離計連動。ダブルガウス型の4群6枚構成。比較的初期のアンジェニューに見られる、オリジナルの淡いコーティングが施されています。
独特の雰囲気のある描写を見せる銘玉、Type S1。絞り開放では、中心部の解像力は高いのですが周辺はかなり流れます。周辺落ちが、美しく柔らかな描写と調和します。使い易いことに加え、大口径ながら121gと小型軽量でスタイルも良く、つい持ち歩きたくなる一本。
試写を担当したスタッフも、描写の良さとコンパクトな鏡胴の使い易さにS1の魅力を再確認しました。
なお、当店でも販売中のレイクォール製 L/Mリングアダプターは、本レンズの無限遠ロックピンの留めネジが干渉するため、ご使用いただけません。通常の切り欠け部分が広いライカ純正のアダプターなどは、問題無くお使い頂けます。
近年Lマウント純正のType S1が高騰しているだけに、こちらの改造Lマウントでアンジェニューの描写を楽しまれるのも一興でしょう。
軽微な使用感は見られますが、綺麗めな外観です。オリジナルの黒塗装はしっかりと残っています。使い込むにつれて枯れた色合いに褪色していきます。エイジングを楽しめるのもこのレンズの魅力でしょう。
2025年1月にライカLマウント改造とフルOHを行いました。職人の手により美しいローレットが刻まれた中間リングは、高品質なアルミによるワンオフ製作品。センス良くまとめられた造形がお見事。距離計連動の精度もしっかりと追いんでおり、ライカで連動バッチリで楽しめます。
なお、この改造は可逆改造で、いつでもオリジナルのアルパマウントに戻せます(ねじ込み式)。
レンズ2群目には点状のバル切れが5〜6点ほど、後玉のフチには清掃で取り切れなかった軽微なカビ跡が2点ほど見られますが、どちらも実写には影響無いでしょう。
試写テスト結果ではS1らしい美しい写りが楽しめました。雰囲気ある描写はさすがです。試写館に作例を掲載しました。ご覧頂ければ幸いです。
このレンズが装備されていたアルパ・プリズマ・レフレックスボディと、このS1のアルパ用ヘリコイド部品、ALPA銘の純正前キャップ、社外品の保護フィルターが付属します。
アルパボディとヘリコイドパーツは未整備ですので、撮影には用いることは難しく、鑑賞用としてお考えください。