ドイツ空軍用として供給されたライカIIIc。製造番号は3689xx。トップカバー背面部には、Luftwaffen-Eigentum(ルフトヴァッフェン・アイゲンチューム; ドイツ空軍所有物)刻印。また、トップカバー上面には、FI.No.38079刻印が刻まれています。
ドイツのLeica Historica発行の「30 Jahre Leica Histoica」の番号表によれば、本品は第二次世界大戦中の1941年1月6日に出荷された個体。なお、こちらの本にはIIIbと記載がありますが、IIIcの間違いと思われます。
前年の9月には日独伊三国軍事同盟、1941年6月にはドイツのソ連侵攻、12月には日本が米国へ宣戦布告と、大戦が拡大していく過渡期に生まれ、時代を見つめてきた1台。
ベースのカメラはライカIIIc。板金ボディからダイキャストボディへと製造技術の革新によって大量生産が可能となり、ライカの歴史においても重要なモデルとして位置づけられます。
1/1000シャッター、スロー、巻き戻しノブと同軸タイプの視度補正、隣接したレンジファインダーとファインダーのアイピースなど、充実した機能が盛り込まれたモデルでもあります。三脚ネジは太ネジですが汎用のアダプターが装着されており、一般的な三脚でもお使い頂けます。
使用に伴う傷や擦れが多めに見られます。シリアル番号付近に軽微なアタリ、巻戻しノブ側の対物側ファインダー窓周辺のメッキ部には引っ掻いたような擦れ傷が見られます。風格十分。
2025年1月に専門業者にてOH済。シャッター機構の分解整備、幕交換、距離計調整などしっかりとした整備を行っています。各部の動作良好。ファインダーの見え味もスカッとクリアです。
軍用では無い通常の革ケースが付属。レンズカバー部の下部が切れており補修がされています。稀少品。