ライツのコード名はHEKON。戦前ライツの中望遠銘レンズ、ヘクトール 73mm f1.9。製造番号は43万台、1938年製。メートル表記。回転ヘリコイド式。
本品はブラックペイントとクロームメッキ仕上げ。バルナックからM型ライカなど、外観のマッチングがしやすいモデルです。
絞り開放付近ではフワリとした滲みを伴う写りで、実にオールドレンズらしい味わいが得られます。絞り込んでいくとググッと解像感が増していき、被写体を引き立てる描写となります。絞り値3.2〜6.3が使い頃ですが、オールドレンズらしい柔らかな描写が味わえる、絞り開放付近を積極的にお楽しみ頂きたいレンズです。
純正フード&フードキャップ、リアキャップが付属します。
ヘリコイドに真鍮地の露出が見られますが、その他はわずかにエッジにブラックペイント落ちがある程度で、製造からの90年近い歳月を考慮すれば、大切に使われて来たことが伺える外観です。マウント面などメッキ部もなかなか綺麗です。
前オーナー様のもとで、本年関東カメラさんでオーバーホールが行われています。各部の操作感良好です。
距離計連動もバッチリ。最短撮影距離指標の1.5mはもちろん、さらに近接側では5cm程度の前ピンとはなりますが1mくらいまで寄れます。嬉しい寄れるヘクトール!
中玉の端に一箇所、長さ2mmほどの薄いシミが見られますが、他は拭き傷やクモリは見られずスカッとキレイに抜けたガラスです。ヘクトール 73mmとしては、かなり上位のガラスコンディション。
試写結果、大変良好。試写館に作例をアップしました。全て絞り開放f1.9での撮影です。ご覧頂ければ幸いです。