稀少、ビオター 40mm f2の黒&ニッケルバージョン。1933年、コンタックス I型の時代に黒バージョンが少数製造され、1936年頃からはクロームメッキ仕様が製造されました。とある情報によると、この40mm表記のビオターは、黒・白合わせても360本しか製造されなかったそうです。そうそう見掛けない訳です。
Hartmut Thiele氏のCarl Zeiss Jenaレンズ製造番号表によると、本品は製造初年度の1933年に出荷された一本。
このビオター、40mm表記ながら実際の焦点距離は42.5mmだったようで、1937年頃には4 1/4cm (42.5mm)表記へと変更されます。
レンズ構成は4群6枚、距離表記はmeter。
黒ビオターをブラコンに載せたその姿は、威風堂々、それはそれは魅惑的な鈍い輝きを放ちます。眺めているだけでもウットリできる一本。
当店販売品がはたまた出戻って来ました。前回販売時と変わらぬコンディションです。指の触れる部分の黒塗り部に塗装落ちが見られますが、目立った傷やアタリはありません。
2023年にフルOH済。絞りリングやヘリコイドリングなど、可動部の操作感は現在も絶妙なトルク感を保っています。
レンズ前玉には薄い拭き傷がやや多く、また経年による軽微なガラスのヤケが見られますが、ガラスのやわらかいビオター 40mmとしてはまずまず良いコンディション。
実写結果良好です。前回の作例ですが試写館をご覧頂ければ幸いです。ビオター独特の周辺の甘さを感じながらも中心部の解像力はしっかりしており、オールドレンズらしい描写を楽しめました。
純正前キャップ付。