ライカ IIIcK グレー。軍用の耐寒仕様。1945年頃の製造。「K」はドイツ語でボール・ベアリングを意味する頭文字。シャッター軸にボールベアリングを採用。グリスを抜くことで寒冷地での凍結を防ぐ設計とされています。
外観は独特な青みがかったグレーペイントとクロームメッキ仕上げ。時代のあったズミターやエルマー5cmを合わせるのが雰囲気でしょう。貼り革も同色のグレー仕上げ。
第二次世界大戦中の1945年3月15日、ウェツラー工場は米軍に占領されました。当時製造中であったIIIcKの製造は継続され、民間用としても販売されたようです。なお、この番号の少し後からバルブのZ表示が英語のB表示へと変更されています(参考:中川一夫著 「ライカ物語」)。
カド部などにペイント落ちやアブクが見られます。トップカバー上面部の巻戻しノブ付近のカドに軽微なアタリがありますが、外観を損なう程ではありません。IIIcKグレーとしてはだいぶ良好な部類の個体でしょう。
2024年にシャッター幕交換を含むOH済。整備前のオリジナルのシャッター幕は劣化でかなり傷んでいましたが、うっすらと「K」マークが記されていました。
各部の操作感滑らかに仕上がっています。ファインダーの見え味もクリアー。距離計の二重像もクッキリしています。実用にもどうぞ。