1956年に発売されたニコン Sシリーズ用の超大口径レンズ、ニッコール-N 50mm f1.1。6群9枚構成。フィルターサイズは62mm。写真用のニッコールとしては、Fマウントの物を含めて最大口径のレンズです。
ズノー 50mm f1.1、フジノン 50mm f1.2、ヘキサノン 60mm f1.2、キヤノン 50mm f1.2等の戦後の大口径競争に対する日本光学の回答。
本品は内バヨネットタイプ。内爪、海外ではInternal Mountとも呼ばれます。1959年には外バヨネットタイプに移行します。
ニコンS用は内爪、外爪合わせて僅か835本の製造。ちなみにライカ Lマウントは211本製造されました。
絞り開放付近ではフワリとした柔らかい写りですが、f1.3程度から安定した描写へと大きく変化します。
当店過去販売品。お客様に大切に使われ、この度出戻ってきました。前回販売時と変わらず良いコンディションです。
フィルターリング外側のクローム部に軽微な擦れ、ヘリコイドリングにごく僅かなペイント落ちが見られますが、全体的に黒ペイントもしっかりと残っており、綺麗な外観です。
付属の純正前キャップはなぜか表面が磨かれて？おり、富士山マークが僅かに浮き出ているような状態ですが、ベタつきなどは見られず実用に足るものです。後キャップはコピー品。純正62mmUVフィルターはNippon Kogaku Japan銘。
2023年8月にフルOHを行っています。絞りの操作感滑らかです。
レンズ前玉にはごくごく軽微な拭き傷、また、中玉のフチにこのレンズの持病とも言えるバル切れが僅かに見られますが、実写にはまず影響ありません。実写テスト結果も良好でした。他、ガラスはクモリ無くスカッと抜けており、各面にはコーティングがしっかりと残っています。
ニコン S - ライカ Mアダプター等で撮影する場合は、レンズ後端部のレンズガードが距離計カムと干渉してしまい、正しいピント合わせが行えませんのでご注意ください。ミラーレス機やライブビューで使われるのが良いでしょう。
ピントグラスでの確認となりますが、当店のニコン Sテスト機で距離計連動やピント確認済みです。
前回販売時の撮影ですが、試写館に作例を掲載しました。アダプターを介して、ソニーα7IIIで撮影しています。ご覧頂ければ幸いです。
