製造番号99万台、1960年3月に出荷されたライカ M2ブラックペイント。セルフタイマー無し。
本品は、カメラレビュー・クラシックカメラ専科No. 63「わが伴侶の40年 ライカ M2 ボディーNo.990716」に掲載されているM2黒そのもの。
フォトジャーナリスト中川市郎氏が、1961年7月にニューヨークのカメラ店で入手、長年にわたり撮影に使用していた一台で、ホワイトハウスの執務室ではジョン F. ケネディやその側近を撮影したショットも。JFKを撮ったM2BP。その際の撮影機材は、M3とこのM2黒にズミクロン 90mm f2、ズマロン 35mm f2.8。
他、サッチモ(ルイ・アームストロング)、猪熊弦一郎などのアーティストやアメリカ連邦準備銀行の金塊保管倉庫など、通常どうやっても立ち入れない世界までをもフィルムに写し込んだ、歴史の証人的なM2ブラックペイント。
どれだけ使い込めばここまで黒塗りが剥げるのでしょう。ブラックペイントのお手本の様な一台です。
巻き上げレバー付近の角部、アクセサリーシュー横、底蓋の角部にそれぞれに一箇所ずつアタリが見られます。
ボディ全面の黒塗装は長年の使用により自然な雰囲気で剥げており、貫禄十分。黒塗り部には自然なあぶく、真鍮地が出た箇所には酸化による絶妙なグラデショーンが生まれ、まるで水墨画のような景色が広がります。グッタペルカ(貼り革)は場所により多少磨り減っていますが、全面オリジナルで欠け等も見られません。
2024年5月にOH済。丁寧な整備により、巻き上げやシャッターレリーズ等、各部滑らかな操作感に仕上がっています。ファインダーの見え味もスカッとクリアー。
歴史的なシーンを記録してきた一台。お馴染みのコレクターさんよりお譲りいただきました。