Carl Zeiss Jena製ビオター 5.8cm f2、比較的初期製品で真鍮にクロームメッキの鏡胴です。ズシリと重量感があり、つくりの良い美しい鏡胴です。エキザクタマウント。1939年製。戦前品。ノンコート。レンズ構成は4群6枚のダブルガウス型。
設計は1927年にビオター f1.4を設計したウィリー・メルテ氏。1936年にこのレンズを世界最初の一眼レフカメラの一つ、キネ・エキザクタ用として設計しました。また、この頃から一眼レフのミラー分のバックフォーカスを稼ぐために、ダブルガウス型が注目されるようになったようです。
しっかりとした真鍮に美しいクロームメッキを施した鏡胴は、戦後の軽金属鏡胴のビオターとは一線を画した重厚感です。実測で320g。
描写はノンコートらしい穏やかな発色。中央部はしっかりと結像しており、写実感高い写りです。周辺に行くにつれて流れが感じられ、背景のボケは距離によってはぐるぐると渦巻くことがあります。オールドレンズ王道の写りでしょう。
鏡胴先端部には使用に伴う擦れが見られますが、全体的にメッキの状態も良好です。戦前品であることを考慮すると、改めてツァイス製品のクオリティの高さを実感します。
2024年7月にフルOH済。絞り、ヘリコイドの操作感はしっとり滑らかです。
前玉には軽微な拭き傷とヤケが見られますが、戦前ビオターとしてはかなり良好なガラスコンディション。クモリやカビ痕、バル切れも見られません。
純正前キャップが付属します。