ライカ・ノクトン 50mm f1.5。ライカスクリューマウント。フォクトレンダー社製。本品は後期型、製造番号は333xxxx。6群7枚構成。ヘリコイドの距離表記はfeet。
ノクトン 50mm f1.5は1950年代始めにプロミネント用として製造されましたが、Lマウントも少数作られました。かなりの珍品ですが、コンタックス・マウント、またレンズ構成は若干異なりますがレクタフレックス用なども存在します。
余談ですが、プロミネント用標準レンズと同様に、Nokton 50mm f1.5の他にColor-Skopar 50mm f3.5、Ultron 50mm f2のオリジナルLマウントも存在します。固定鏡胴ウルトロンは当店でも過去に扱いがありますが、20年ほど前に北ドイツへ買い付けに行った際、元フォクトレンダー社のエンジニアだった方が、自宅金庫の奥深くにウルトロン 50mmの沈胴LTMを大切に保管されていましました。後にも先にもあの一本しか見たことはありません。ちなみにその傍らにはニッケルのMakro-Plasmat群も。その後何度もアプローチしたのですが入手は叶わず。今は何処へ...
スタイル、描写共に、古今東西数多あるノンライツ・レンズの中でもトップクラスの人気を誇るこのライカ・ノクトン。製造期間の短さの割には多くのバリエーションがあり、当店で把握しているだけでも7種類くらいのバリエーションがあります。しかも必ずしも製造番号順に進化している訳ではないようです。ズノーみたいなものでしょうか。
本品は黒帯1本、イエロー・コーティング、銘板がクロームのタイプ。この銘板クロームのバージョンは、近年ではローライ同様White Faceとも呼ばれているそうです。重量は345gと歴代ライカノクトンの中でもどっしりしています。
描写も麗しい、美しいスタイルの稀少銘玉です。
フィルター枠外周部にフードの着脱による軽微な擦れや小キズなど少々の使用感はありますが、アタリや凹み等は見られずかなり綺麗な外観です。
2024年2月にフルOH済。丁寧な整備で距離計連動もバッチリ、ノクトンにありがちな鏡胴のガタもなく、各部の操作感滑らかに仕上がっています。
前玉にごくごく薄いヘアラインが数本見られますが、実写にはまず影響ありません。他、クモリやバル切れ等は見られず、ライカノクトンとしてはとても綺麗なガラスです。
イエローとパープルが混在するコーティングも全面しっかり残っています。
試写館に作例を掲載しました。ピントを合わせる度に、独特なヘリコイドデザインが指に新鮮な感触を与えてくれます。
作例は全て絞り開放付近での撮影です。中心に芯がありつつも、柔らかさを伴った描写と丸ボケが印象的。光と戯れるのが楽しい一本。
ご覧頂ければ幸いです。