フリロン 50mm f1.5。南ドイツ・Freiburgのフツーラ・カメラ社(Futura Kamerawerk)が、1952~57年の間に製造した上位機種、フツラ S用標準レンズとして登場しました。4群6枚構成ながらダブルガウス型ではありません。コンパクト軽量ながらf1.5の明るさを持つ優れた設計。隠れた銘玉として、密かな人気レンズです。
開放ではかなりやわらかな描写で、一段程度絞ったあたりが美味しいところでしょう。オールドレンズらしいボケ味と周辺の歪みが見られ、美しい滲みの中に繊細さを持ちあわせる上品な描写です。
フツラは謎の多いメーカーですが、小メーカーながらシュナイダー社の設計士により設計された、このFrilon 50mm f1.5やFrilon 70mm f1.5などの素晴らしい大口径レンズを短期間の間に送り出しています。(oldlens.comさんの記事を参考にさせて頂きました)。稀少品。
使用感は少なめ、アタリや目に付くような大きな傷は見られず綺麗な外観です。
2023年にフルOHと合わせて、Mマウント改造を行いました。各部の操作感は例によって大変滑らかな仕上がりです。入念な距離計連動カム加工により、0.7m付近から無限遠までしっかりと距離計に連動します。
レンズは前後玉に浅い拭き傷がやや多く見られますが、クモリは見られません。ガラスがかなり傷んでいる個体ばかりのフリロンレンズとしては、良いコンディションでしょう。ライブビューでのピーキングもしっかり出ており、実写テスト結果も大変良好でした。
フィルター径は39mmねじ込み。本品にはライカのUVa IIフィルターが付属します。