精機光学工業製(現キヤノン)。キヤノン SII型。SEIKI-KOGAKU TOKYO銘。1946年10月〜1949年6月の製造です。
ちなみに1947年9月にキヤノンカメラ株式会社と社名変更されたので、CANON CAMERA COMPANY LTD.刻印のSII型もあります。合計約7500台生産されました。
戦後初の本格的な新型機として登場。J戦後型に距離計とスローシャッターを装備したモデル。一眼式距離計内蔵ファインダー、ライカLマウントを装備。底蓋には、MADE IN OCCUPIED JAPANの刻印有。
本品の製造番号は16xxx。砂型鋳造ボディ。見れば見るほど手作り感を感じます。製造番号17000以降はダイカスト製造となり、レンズマウントもライカと共通の1インチ26山となります。ハンザキヤノンから続く試行錯誤の日々が見て取れる、キャノン創生期の歴史の証人的カメラ。
付属のレンズは、戦後型SII用として1946年に発売された、キヤノン銘のセレナー 5cm f3.5。3群4枚のテッサー型。feet表記。当時はセレナ 5cm f2や、ニッコール 50mm f3.5付も販売されていました。本品はシンクロ接点が装備されています。
(参考:I.C.S.輸入カメラ協会発行:国産レンジファインダーカメラ&交換レンズ特集)
使用に伴う擦れやメッキ落ち、メッキの傷みがトップカバーの背面部やカド、底蓋に見られます。アタリは見られません。この時代の製造品質を考慮すれば劣化は避けられませんので、比較的良好なコンディションでしょう。
2024年3月に専門業者にてボディ、レンズともにOH済。各部の動作良好、ファインダーの見え味もクリアです。
レンズは前玉のガラスに軽微なヤケ、中玉に薄い拭き傷は見られるものの、このレンズとしはなかなか良いコンディション。
使用上に当たっては、下記の2点にご注意ください。
1. スロー(1/20〜1)の時以外は、スローダイヤルを「20」の位置に固定します。中途半端な位置だと、不具合が発生することがあります。
2. 巻戻しの際はシャッターボタンを押し続けてください。