珍品、ライカB型。後期モデルの新コンパー付き。通称リムセット。
本品はシリアル番号34000番台の1930年製。距離指標はメートルです。
ライカ B型は、1941年までに新・旧コンパー合わせて1700台程度(うち新コンパー付は約1000台!)が生産されましたが、DII登場の1932年以降はほとんど売れなかったようです。実際に操作をしてみるとその使い難さがよく分かります。
新コンパーシャッターは、1秒〜1/300、B、Tを装備。真ん中に鎮座するクルリと可愛いレンズの周囲には、ちゃんとエルマー銘が刻印されています。ちなみに金属にブラックペイント仕上げの専用レンズキャップが存在しますが激レアです。無刻印だったこともあり、ほとんど失われてしまったのでしょう。
フィルムロック解除ボタンはエクボレリーズ(最初期のB型はマッシュルームレリーズ)。巻上げと巻戻しノブは、ローレットの刻みの目は荒目で同時期のライカA型と同じ仕上げです。
底蓋の開閉ロックは、ライカA型初期やB型旧コンパーに見られるカンヌキタイプ。製造年代を考慮すると、DIIやDIIIと同じ通常のオールニッケルメッキのロックのはずですが、どこかで入れ替わってしまったのでしょうか。カンヌキ底蓋はカメラ全体のコンディションと見合っていますので、かなり早い段階からこの底蓋が装着されていたと推測されます。
各所にペイント落ちや小傷など、全体的に時代なりの使用感はありますが、目立つような傷やアタリは見られません。90年以上にわたって大切に使われて来たことが伺えます。
2024年6月にOH済。各部の動作正常です。実際の撮影にはかなり複雑な操作が必要ですが、しっかりと実用可能です。
巻き上げとシャッターは完全に独立しており、フィルム送りとシャッターチャージ、それぞれを操作する必要があります。
1コマ撮影後次のコマに進むには、エクボレリーズ風ボタンを押して巻き上げロックを解除し、巻き上げます。
フィルムカウンターは針がクルクルまわる可愛らしい動作です。
このフィルムカウンターはフィルム装填前にセットする必要があります。底蓋を開け、巻き上げロック解除ボタン(エクボレリーズ)を押しながら、人差し指でスプロケットギアを回し、カウンターを設定します。なお、空シャッターの2コマ分を戻しておく必要があるので、0から反時計方向に2コマの位置に設定します。
なお、フィルムカウンターや巻き上げなどの諸々の機構は、フィルム装填時でないとは動作しませんのでご注意ください。
ライカ コンパーB型の動画はこちら!
旧コンパーの動画ですが、新コンパーも基本的には同じです。
ライカ B型については、カメラレビュー・クラシックカメラ専科 No.67 「ライカブック 03」に詳細な記事があります。当店のコメントでも参考とさせて頂いています。