三協光機製の中望遠レンズ、コムラー 80mm f3.5。ライカスクリューマウント。距離計連動。本品は最初期の個体と思われ、後の同レンズとは形状がわずかに異なります。
1955年のアサヒカメラ誌に、コムラー・ブランドのレンズとして初めて掲載された4本のうちの1つが、この80mm f3.5です(クラシックカメラ専科 No50 P.111に関連記事)。
真鍮製のしっかりとした鏡胴で、実測447gとズシリとした重量感。3群3枚構成のトリプレットタイプ。ヘリコイドの距離表記はfeet。最短撮影距離は4feet(約1.2m)。淡いパープルやオレンジのコーティングが施されています。
本品のシリアル番号は020x!番号からはプロトタイプとも思われる個体です。通常、コムラー 80mmの初期モデルは細身でくびれていますが、こちらの個体にはくびれがありません。また、鏡胴先端部も通常とは異なりすっきりとしたシェイプ。これらの特徴は、上述のアサヒカメラ1955年5月号に小さく掲載されている写真と合致します。
開放付近では中心部はしっかりと写り、周辺部は流れが感じられます。ある程度距離を置いた撮影では、周辺の流れや後ボケに特徴を感じます。なかなか味のある描写です。
珍品。
鏡胴の各部に擦れ、またクロームメッキに経年による荒れが見られます。
2026年にピント調整を含むフルOH済。絞りとヘリコイドはとても滑らかな操作感に仕上がっています。
距離計連動は、最短1.2feetではやや後ピン傾向、2m~3m前後はドンピシャ、5m以降は少々前ピン傾向です。f5.6くらいに絞ると、2m〜無限遠の範囲で、被写界深度に収めた撮影ができるでしょう。
ガラス各面には、強いLEDにかざして分かる程度の軽微なコーティング傷みと、後玉の周辺部にカビ痕が見られます。他、クモリや目立った傷も見られず、比較的良好なガラスです。
実写結果良好。試写館に作例を掲載しました。ご覧頂ければ幸いです。
社外品のキャップが付属します。