ニッコール-P.C 8.5cm f2、ニコンSマウントの初期型。シリアル番号903xxx。6桁シリアル。本品は最初期801のシリーズに続く、第二ロットの捨て番903シリーズ。製造は1949年か1950年頃と思われます。
連合国軍占領下の日本で製造されており、Made In Occupied Japan(占領下の日本)の刻印入り(通称 MIOJ)。こちらの個体はレンズ鏡胴に加えて、フロントキャップにもMIOJの刻印がされています。目立たぬ位置に小さく小さく刻印されたこの文字列から、当時製造に携わった方々の心情が伝わってくるような気がします。
レンズの設計は3群5枚構成のゾナー型。feet表記。D.D.ダンカン氏が朝鮮戦争で使用し絶賛を得た銘レンズ。日本製レンズの優秀さを世界に広めた立役者とも呼ぶべき存在。この時代から日本製のカメラやレンズの性能が飛躍的に向上、やがて世界を席巻します。
純正フード、フードキャップ、後キャップ、革ケースが付属します。ベークライト前キャップはかぶせタイプ。コレクションにもどうぞ。
稀少品。
通常使用に伴う軽微な擦れ傷や小傷、絞りリングとヘリコイドリングに軽微なメッキの傷みが見られますが、全体的に良好な外観です。
2023年9月にフルOHを施しました。各部の動作は見違えるほど良くなりました。コレクションアイテムですが、心地良い撮影が楽しめる仕上がりです。ニコンSにて距離計連動確認済みです。
前玉と中玉には軽微な拭き傷、前玉に小さなカビ痕が2〜3点ほど見られますが、クモリは無くスカッと抜けたガラスです。
ニコン M型など、時代の合ったボディにセットしたいレンズです。