ニッコール-P オート 10.5cm f2.5、最初期モデル。チックマーク付き、R指標付きの初期型。この最初期タイプは1959年に登場、1960年半ばまで製造されたようです。
ゾナータイプの3群5枚構成。距離表記はやや少ないmeter表記。
隠れた銘レンズとして優れた描写力を誇る、ニコンS用ニッコール P・C 10.5cm f2.5を元に設計されたレンズ。設計を手がけたのは、元となるS用レンズも手がけた脇本善司氏。
ニコンS用105mmそのままではミラー分のバックフォーカスを確保できません。そこで、後玉の厚みを1mm減らし、ニコンFのバックフォーカスを確保すると言う、軽微な修正で解決した興味深い逸話があります(詳しくは 「ニッコール千夜一夜物語 」をググってご参照ください)。重量は375g。
写りは折紙付き。絞り開放から中心部の解像感がしっかりとしており、ポートレートレンズとしても力を存分に発揮します。クセの無いボケ味も実に好印象。
シリアルNo. 121034のこの個体は、クラシックカメラ専科 No.52「特集 ニコン F40年」P.43に掲載されている一本そのもの。
また、著名コレクター、Uli Koch氏の著書「Nikon F : The Lenses」によれば、このチックマーク付きの最初期型Type 1は、製造番号120101から121034までとされ、本品は何と最後の一本です!
ヘリコイドリングに軽微な黒塗料落ちや擦れが見られますが、全体的に綺麗な外観です。アルミ部に丁寧にクリアーを拭いた、初期型特有の美しい仕上げは健在です。
各部の操作感良好です。前玉には拭き傷多少見られます。クモリ等は見られません。
後年のものですが、フード、前後キャップ、革ケース(元箱付)が付属します。日本光学銘の純正UVフィルター(L38)も付属。
ニコン F 640と合わせて、コレクションにどうぞ!