ニッコール-S 8.5cm f1.5。ライカスクリューマウント。1951年に登場した日本光学製の大口径中望遠レンズ。ブラックペイントとクロームメッキ仕上げ。
本品はNIKKOR-S銘となり、三脚座がブラック、基部のローレットの刻みが粗くなった後期型。3群7枚構成。feet表記。
フィルターは58mmねじ込み。ニコンやコンタックスマウントとは、フィルター径やフードの装着方法が異なりますのでご注意を。
ニコン用、ライカ用、コンタックス用の3タイプ合わせて約2000本が製造されたと言われています。大口径望遠がゆえにガラスがタップリと詰まっており、重量は実測で551g、フード装着で584gありますが、コンパクトな鏡胴とバランスの良さで使い勝手の良い一本。
絞り開放ではやわらかく穏やかな描写で、ボケもきれい。解像力も素晴らしい。絞り込んでも硬くなりすぎません。
稀少品。
少々の黒塗料落ちや軽い擦れなど、多少の使用感は見られますが、全体的にはキレイめな外観です。
2024年5月にフルOH済。ヘリコイドの感触は大変滑らかです。絞りのクリック感も良く、気持ち良く操作できます。少々重量のあるレンズなだけに、ストレスの無い操作感は大事なポイントですね。
距離計連動は10m付近から無限遠まではやや前ピン傾向ですが、1−2段絞るとしっかりと被写界深度に収まります。近接〜中間域での距離計連動やピントは大変良好。ポートレートなどには持って来いでしょう。
レンズ中玉には強いLEDライトにかざすと見える程度の薄い拭き傷が多少見られますが、実写には影響無いでしょう。他、クモリなどは見られずなかなか綺麗なガラスです。
シャープなイメージの現代のニコンレンズとは、また違った描写を楽しめる一本。試写館に作例を掲載しました。ご覧頂ければ幸いです。
Lマウント専用のかぶせバヨネット式純正フード、アルミ製純正前キャップが付属します。