日本光学製。ニッコールHC 5cm f2。シリアル番号は捨て番806。Tokyo銘。沈胴式のライカLマウント・レンズ。最大絞り値はf16。feet表記。1946年から49年頃の製造。ニコンI型の時代と重なり、マウントを変えI型にも供給されています。なお、鏡胴には独自のシリアルが振られ、812xxという5ケタ(銘板は6ケタ)がマウント面に刻印されています。
3群6枚構成のゾナータイプ。コーティング付。真鍮にクロームメッキのつくりの良い鏡胴です。絞り調節リングの外周に4箇所の滑り止めのローレットが刻まれているのが特徴的です(後に全周となります)。
ニッコール初期のこのレンズ、撮影結果も素晴らしく、試写して楽しいレンズでした。
鏡胴に多少の擦れやメッキの傷みは見られますが、全体的に良好な外観です。沈胴部の擦れも軽微で各部のメッキもツルリとした肌です。長年に渡って大切にされてきた事が伺えるコンディション。
2023年11月にフルOH済。絞り、ヘリコイドは操作感滑らかに仕上がっています。距離計連動もバッチリ。
ガラスはとても綺麗です。目立った拭き傷も見られません。クモリなくスカッと抜けた見事なガラスです。本来の写りが味わえる、なかなか貴重な一本でしょう。コーティングもしっかりと残っています。
試写館に作例を掲載しました。開放付近では中心部の解像感の高さとハイライトの滲み、周辺のほのかな甘さも感じられ、オールドレンズらしい良き味わいです。試写したスタッフもその描写にウットリ。作例は全て絞り開放。実に良いレンズです。