ライツのコード名はHEKON。戦前ライツの中望遠銘レンズ、ヘクトール 73mm f1.9。製造番号は53万台、1939年製。feet表記。Germany刻印があり輸出用だったと思われます。回転ヘリコイド式で、ヘクトール 73mmの中でも生産本数が一番多いタイプです。
バルナックからM型ライカまで、外観のマッチングdがしやすいブラックペイントとクロームメッキ仕上げ。基部は通常のクロームメッキですが、ヘリコイドリング部は梨地クロームメッキとなっています。
絞り開放付近ではフワリとした滲みを伴う写りで、実にオールドレンズらしい味わい。絞り込んでいくと解像が立ち上がり、被写体を引き立てる描写となります。絞り値3.2〜6.3が使い頃ですが、オールドレンズらしい描写が味わえるf2.2〜3.2付近も積極的に楽しみたいですね。
フード&フードキャップ、リアキャップと付属品も純正品で揃っています。
90年近い歳月を考慮すれば、良好な外観を保っているヘクトール 7.3cmです。各所にペイント落ちは見られますが、目立った傷は見られません。フードは使用感やや多めです。
2023年7月にフルOH済。絞り、ヘリコイドの操作感は大変滑らかに仕上がりました。OHと同時にピント調整も行っており、距離計連動バッチリです。
前玉に経年によるガラスのヤケや風化がクモリ状に少々見られます。また、中玉に小花が咲いたようなごま粒大のバル切れが一箇所見られますが、これらの撮影への影響はほとんど無いでしょう。ヘクトール 73mmとしては綺麗なガラスです。カビ痕は見られません。
実写テスト結果良好でした。ヘクトールらしい柔らかで雰囲気のある写真が得られます。