ライツのコードはHEKON。戦前ライツの中望遠銘レンズ、ヘクトール 73mm f1.9。ブラックペイントとニッケルメッキ仕上げ。
本品は製造番号12万台。1931年に出荷された、ヘクトール 73mm製造初年度121本のうちの1本。
feet表記。回転ヘリコイド式。本品は鏡胴下端にGermany刻印があり、輸出用だったと思われます。
絞り開放付近ではフワリとした滲みを伴う写りで、実にオールドレンズらしい味わい。絞り込んでいくと解像が立ち上がり、被写体を引き立てる描写となります。絞り値3.2〜6.3が使い頃ですが、オールドレンズらしい描写が味わえる絞り開放〜2.2付近も積極的に使っていきたいですね。
フィルターは本来かぶせ式ですが、39mmのねじこみフィルターも使えます。純正フード、キャップ付。
全体的に軽微なペイント落ちが見られますが、ヘクトール 7.3cmとしてはずいぶんと良い外観を保っています。付属のフードキャップのみリペイントされており、凹みが見られます。
2023年8月にフルOH済。各部の操作感、とても滑らかに仕上がっています。距離計連動もバッチリ。なお、こちらの個体は最短距離指標(1.5m)より近接での撮影が可能で、1.2m付近まで距離計連動で撮影できます。
レンズ前玉には経年によるガラスのヤケが少々見られますが、拭き傷だらけの個体が多いヘクトール 73mmとしてはかなり綺麗なガラスです。クモリやバル切れも見られません。実写テストの結果も大変良好でした。
レアな初年度ヘクトール 73mm。