HEKTORCHROM。製造番号12万台。1931年製のヘクトール50mm f2.5。稀少なクローム鏡胴。この時代はクロームメッキの製品群が登場するほんの少し前と思われ、本品は当初ニッケルメッキとして製造され、後年クロームメッキへと純正改造された個体である可能性もあるでしょう。
メートル表記。3群6枚構成。ノンコート。f2.5の明るさを持つ小型軽量な沈胴式レンズ。ヘリコイド番号は0番。
絞り開放付近では、オールドレンズ感タップリのやわらかで濃厚な描写を味わえます。ヘクトールは海外などで適当に研磨された個体やピントがおかしなものが多く見られ、仕入の際にもかなり気をつかうレンズですが、本品は、距離計連動、操作感のいずれも良好です。
純正前キャップ付属。稀少品。
カド部のメッキ落ち、銘板と沈胴部に微細な擦れ傷、マウント面にごく浅い線状の傷など、全体的に使用感が見られます。とは言え、使い込まれてクタクタになっている個体が多いヘクトールとしては、まずまずの外観コンディション。
2023年8月にフルOHを施しました。絞り、ヘリコイドは操作感とても滑らかに仕上がっています。距離計連動もバッチリです。
ガラスには薄い点状のカビ痕がわずかに見られますが、ヘクトールにありがちな拭き傷はほとんど見られません。実写テストでは、ヘクトール 5cmらしいやわらかく甘めの開放描写が印象的でした。