仏SOM Berthiot社のライカ・スクリューマウント用レンズ。4群6枚構成のダブルガウス型。真鍮鏡胴にアルミ外装を組み合わせた、ドイツ製レンズとはひと味違ったこれまた立派なつくりです。
フロール 90mm f2.8にも数種のバリエーションがありますが、本品はかなり終わりの方のタイプ。このタイプの鏡胴は、他にアンギュロール 28mm f3.3、フロール 35mm f3.5、フロール 50mm f1.5、145mm f4.5等が見られます。
写真工業出版社刊、世界のライカレンズ Part 4の106ページに、Som Berthiot Flor 90mm f2.8ついての記事がありますが、この一本がまさに掲載されている個体そのものです。
ベルチオのレンズらしい、美しい淡いブルーのコーティングです。見事に結像しながら、立体感のある描写。ベルチオらしい発色をお楽しみ頂けます。絞りリングとヘリコイドリングの位置が通常のレンズと異なり、毎回操作に戸惑ってしまうのもフレンチレンズならではのエスプリでしょうか。珍品。
20年以上前に南フランスのコレクターさんから買い付け、当店で販売したレアな一本が、はたまた出戻って来ました。記憶を辿れる稀少なレンズが戻って来るのは本当に嬉しいものです。
鏡胴のアルミ部に僅かな傷み、真鍮/クロームメッキ部には擦れが見られますが、ベルチオのレンズとしてはかなり良い外観です。
2018年にフルOHを施し、既に5年が経過していますが、丁寧な整備のお陰で、今なお各部の操作感はスムーズ。距離計連動もバッチリ。
ガラスは全体的に綺麗ですが、後玉に拭きキズが少々見られます。実写には影響無いでしょう。
試写館に作例を掲載しました。ご覧頂ければ幸いです。ライカ製とはまた異なる、独特の世界観を持った世界観が味わえる中望遠レンズです。
稀少な純正かぶせ前キャップ付。