エクター50mm f1.9。4群7枚構成。コダック社が1941年に鳴り物入りで発売した重量級レンジファインダー式カメラ、コダック・エクトラに採用された50mm標準レンズを、汎用ヘリコイドを使用しライカMマウントに改造した一本。0.7mから無限遠まで距離計連動します。
エクター 50mm f1.9は通常ノンコートですが、こちらは後玉に淡いコーティングが施されています。
絞り開放では周辺の甘い写りや流れ、なかなか強烈な後ボケを見せてくれる濃い味のオールドレンズ。エクター 50mm f1.9は銘玉の誉れ高いレンズですが、エクトラでの撮影はなかなか困難(笑)。ライカマウントへの改造は昔から試みられていました。が、正確に連動させるは至難の業。
コダック製シリーズVIのフードが付属。今回のフル整備にあたり、フードの反射防止塗装も丁寧に塗り直してもらいましたので、より引き締まった描写をお楽しみ頂けます。
オリジナルのレンズはヘッド部のみとなっています。使用に伴う擦れとアルミの軽微な腐食はありますが、アタリや目立った傷も見られません。
2023年6月にフルOHを施しました。各部の操作感は見違えるように改善され、程よいトルク感に仕上がっています。当初は距離計連動の精度がイマイチでしたので、連動精度を高めるための綿密にピント調整を行っています。当店のデモ機ライカ M10-Pにて、距離計連動バッチリ。
ガラスには軽微な拭き傷やごく微細な気泡状のバル切れが見られますが、クモリ無くスカッと抜けたガラスです。
実写結果も良好、試写館に作例を掲載しました。ご覧頂ければ幸いです。
中心部の解像感の高い描写を、豊かなボケや周辺の淡さが引き立てる写りは独特な雰囲気です。
