フランス・アンジェニュー社製、50mm f1.8 Type S1。1946年製。アルパ・レフレックス用のAlitar 50mmを、エルマー 50mm f2.8の鏡胴を用いて改造された一本です。ライカスクリューマウント。距離計連動。4群6枚構成。一部のガラスに淡いコーティングが施されていますが、初期のアンジェニューのオリジナルコーティングとみて良いでしょう。
ダブルガウス型らしい周辺落ちが、美しく柔らかな描写と調和します。絞り開放では、中心部の解像力は高いのですが周辺はかなり流れます。使い易いことに加え、小型軽量でスタイルも良く、つい持ち歩きたくなる一本です。
当店過去販売品です。お客様に大切に使われ、この度当店に出戻ってきました。
初期のアンジェニュー独特の鋼色に褪色した鏡胴が、枯れた良い雰囲気です。バルナックライカはもとより、使い込まれたライカM型ブラックペイントなどにも良く似合うでしょう。
2022年にフルOHを行っています。絞りやヘリコイドの操作感は極上、鏡胴内部の内面反射防止ラッカーも丁寧に塗り直され、より締まった描写が期待できます。
レンズはわずかなガラスのヤケ、クリーニングで取り切れなかったごく薄いカビ跡が中玉の端に一箇所見られますが、他は綺麗なガラスです。
Type S1のオリジナルLマウントは稀少な上に価格も高騰しています。本品は改造品とは言え、レンズヘッドは同じですので、お手頃にS1を楽しまれたい向きには良い選択肢でしょう。
前回販売時のものですが、試写館に作例を掲載しました。ご覧頂ければ幸いです。絞りf1.8〜f2付近での撮影です。