アンジェニュー 50mm f1.8 Type S1。アンジェファン垂涎のオリジナル・ライカ Lマウント。シリアル番号は61.5xx。初期の軽量オールアルミ鏡胴でノンコート。お探しの方も多いモデルでしょう。
本品は1945年製造の一本。コーテッドのS1も出始める時期ですが、こちらはノンコート。ちなみに少し前に取り扱ったシリアル番号数番違いのS1は、ブルーのコーテッドでした。端境期ですね。レンズ構成はダブルガウス型の4群6枚構成。距離表記はメートル。
50mm f1.8は、アルパ用等として1940年代初めから製造された、アンジェニュー古株の銘玉です。中でもライカスクリューのS1はノンライツレンズの代表格。f1.8と大口径ハイスピードながらも小型軽量、フランスらしい小粋でスタイリッシュなデザインが泣かせます。オールアルミ製の鏡胴は実測でわずか107g。
絞り開放付近ではやわらかく繊細ながら、立体感のある素晴らしい描写です。撮影距離に応じてボケ味も大きく変化し、中間距離ではぐるぐるボケも感じられます。
撮って良し、眺めて良しの一本。本品は鋼色に褪色しており、バルナックライカのみならず、ブラックペイントのライカ M型にも実に良く似合います。
アルマイト加工の鏡胴は、先端部に使用による剥げと鏡胴全体に自然な褪色が見られます。丁寧に丁寧に、ほど良く使われてきた印象です。
2020年に当店にてフルOHを行っています。絞り、ヘリコイドの操作感はアンジェニューらしからぬ(失礼!)素晴らしい感触です。レンズは中玉に軽微な点状のバルサム切れは見られますが、実写にはまず影響ありません。撮影結果も大変良好でした。
総アルミ鏡胴の初期のアンジェニューは、グリス切れした状態で使うとあっという間にヘリコイドにガタが出てしまい、連動不良はおろか片ボケなどにも悩まされますが、本品にそんな心配はご無用です。距離計連動もバッチリ。
試写結果も大変良好でした。試写館をご覧頂ければ幸いです。