キヤノン 50mm f0.95。1960年のフォトキナで発表するなり、世界中から賞賛を得たキヤノン製の超大口径レンズ。ズノー 50mm f1.1、ニッコール 50mm f1.1、フジノン 50mm f1.2、ヘキサノン 60mm f1.2、そしてキヤノン 50mm f1.2など、1950年代の国産大口径レンズ競争がひと段落した1961年に販売開始されました。別名ドリームレンズ。
新種ガラスを5枚使用し、5群7枚構成。元はキヤノン 7/7s用の専用バヨネットですが、ライカ Mマウントへ改造済。フィルター径は72mmねじここみです。
絞り開放f0.95〜f1.4では、独特の柔らかな写りが印象的。f2以降は解像力とシャープネスがグンと高まり描写が豹変し、実に愉しく使えるレンズ。
後玉が僅かにマウント面より飛び出していますので、取扱いにはご注意ください。
外観は軽微なブラッククローム落ち、鏡胴先端部のカドに一箇所、アタリと傷が見られます。他は、全体的にまずまずの外観です。純正前キャップにはアタリと傷が見られ、実用コンディション。
当店で仕入れた際に既にMマウント改造がなされていましたが、連動精度や仕上げが今ひとつだったので、2022年12月のフルOHと同時に、Mマウントへの再改造を行って頂きました。
絞り、ヘリコイド共に、期待を裏切らない滑らかな操作感。被写界深度が非常に浅いレンズですが、距離計連動もバッチリです。当店のライカM240やM10-Pでもピントはドンピシャ、撮影していて実に楽しい一本。
レンズ前玉と後玉には、ケシ粒ほどのごく小さななカビ痕が3〜4点見られますが、拭き傷はほとんど見られず、各面クモリも無くスカッと抜けた綺麗なガラスです。キヤノン 0.95の中でも上位のガラスコンディションでしょう。
試写館に作例を掲載しました。いずれも絞り開放での撮影。柔らかで幻想的なこのレンズ独自の描写が楽しめる一本です。