XEMOO。49万台のライツ・クセノン 5cm。1939年の製造。トロニエ博士の設計による、戦前のライツを代表する大口径レンズ。製造はシュナイダー社で約6000本と多くは無い生産本数。本品はヘリコイド・リングのローレットが3本の後期タイプ、通称スリーバンド。六角絞り。5群7枚構成。ノンコート。最小絞りはf9。距離はmeter表記。
絞り開放ではベールをまとったような、クセノンらしい繊細でやわらかな描写が楽しめます。木陰や屋内でややアンダー目で撮影すれば、このレンズの良さがより引き出せるでしょう。
また、本品にはライツによる淡いブルーの初期のコーティングが施されており、その恩恵か通常のクセノンと比較すると、白みやフレアが抑えられています。使えるクセノン。
鏡胴先端や絞り指標の上のネジ部にうっすら真鍮が見えている箇所がありますが、他は使用感少なくライツクセノンとしてはかなり綺麗な外観です。アタリや凹みは見られず、丁寧に使われて来た印象です。
2022年7月にフルOH済。入念な整備により、クセノンの重くなりがちな絞りリングやヘリコイドの操作感は極上の滑らかさ。距離計連動も全域でバッチリ。また、鏡胴内部の内面反射防止の艶消しラッカーも塗り直され、より締まった描写が期待できます。
レンズは前玉と中玉に薄い拭き傷が見られますが、前玉や後玉が擦れ擦れの個体ばかりのクセノンとしては、なかなか綺麗なガラスです。実写結果も大変良好でした。描写も良く、使い倒して頂きたいクセノンです。