戦前ライツを代表する大口径高速レンズ、ズマール 5cmニッケル鏡胴。本品は、固定鏡胴の初期ズマール(通称ひょっとこズマール)の後に僅かに製造された、先黒ズマールとよばれるモデル。鏡胴先端がブラックペイント。ライツのコードはSUMUS。製造番号は19万台、1933年製。六角絞り。ノンコート。絞り指標は大陸式。距離表記はmeter。
Jim Lager氏の著書によると、ひょっとこズマールから沈胴ズマールへの純正アップグレードも当時行われていたそうです。
素晴らしい描写をみせる一本です。そうそう出ては来ませんが、クモリや拭きキズが無く、しっかりと整備されたズマールは非常によく写ります。
ニッケル鏡胴や先黒部分には使用感も見られますが、製造年代やコンディションを考慮すれば美品と呼んで差し支えないでしょう。
純正前後キャップ、元箱付。ライカ DII、DIIIのブラックボディに装着してみたい一本です。
2022年3月にフルオーバーホール済です。絞り羽根やヘリコイドの作動は非常に滑らか、無限遠ストッパーの納まる感触まで心地良く仕上がっています。鏡胴内部の内面反射防止の艶消しラッカーも丁寧に塗り直され、より締まった描写が期待できます。
レンズは経年による僅かなヤケと、ごくごく薄い拭きキズが前玉に2〜3本見られますが、他はクモリや目立ったキズも無く、オリジナル状態を保ったズマールとしてはとても綺麗なガラスです。
ダブルガウス型らしい濃厚なボケ味と、ズミター、ズミクロンへと続く、50ミリf2レンズの始祖であるヒストリーを味わいながら、お楽しみ頂きたい一本です。