ロボット I型。1934年に登場した、24x24mm判スクエア・フォーマットの目測式カメラ。スプリング・モーター巻き上げ。レンズは専用のロボット・スクリューマウント。
フランスの著名ロボットコレクター、Claude BELLON氏の分類によれば、本品はロボット I型のバージョン3。1936年頃の製造です。
ボディ内蔵の緑フィルター、真っ青に見える横向きファインダーも楽しい機構。I型は後のモデルと比較しても、ことさらコンパクトで可愛らしく、愛でたくなるカメラです。その一方、動作不安定でマトモな個体が少なく、カメラ屋泣かせのカメラでも。本品はしっかり整備された完動品です。
カール・ツァイス・イエナ製のテッサー 3cm f2.8が付属します。
1990年代の終わり、デンマークはOdenseでの買い付けの際、ロボットコレクターから譲り受けた一台です。ヨットも並ぶN氏の大きなガレージの裏の納屋には、とんでも無い数のロボットとフォクトレンダーのカメラがその資料と共に綺麗に陳列されており、アクアビットをしこたま飲まされながら、コレクション自慢を聞いたのも良き思い出です。
日本国内で整備した後、北青山の店で販売し、お客様が大切に所有されていました。嬉しい再会です!
外観は各部に擦れや小傷が見られます。また、シャッターレリーズ部のクロームメッキは剥げています。他、目に付く様な傷やアタリは見られません。ロボット I型は、使い込まれた個体が散見されますが、こちらの個体はなかなか良好な外観です。
専門業者にて、シャッター機構の分解清掃とグリスアップ、低速シャッター速度調整、光線漏れ対策等を行っています。ファインダーの見え味はクリアです。貴重なI型専用のフィルムマガジンは、両方ともツメも欠けておらず良い状態です。
レンズには拭き傷やヤケ、少々のクモリが見られます。ヘリコイドと絞りは動作正常です。
実際にフィルムを装填し作動テストを行いましたが、スプリングが弱っているため連写撮影は6〜7枚程度となります。が、ゼンマイが弱っているものが殆どのロボットI型としては、上出来な作動状況でしょう。コマだぶりは見られません。
なお、ロボットはフィルムのテンションが掛かった状態での巻上げやシャッター作動を想定しているので、空シャッターの切り過ぎにはくれぐれもご注意ください(とは言え、コレが結構楽しいので困ったものです...)。
ロボットI型用では無く、後のII型用と思われる速写ケースが付属します。革ケースの三脚ネジの位置は変更されています。