シネ用のキノプティック 50mm f2を、ライカ Lマウント距離計連動に改造した一本。アポクロマート設計。コーティング有。4群6枚のダブルガウス。1960年頃の製造と思われます。キリッとした解像力の高いピント面の描写。背景の距離に応じ少しざわつくボケ味がそれを引き立てます。絞りを効かせるとキレが増します。
実測147gの軽量・小型な鏡胴で、気軽に持ち出せます。参考までに固定鏡胴ズミクロンは250g前後です。ズミクロンと比較すると鏡胴はやや長いですが、フィルター枠が深く前玉が奥まっており、フード無しで軽快に撮影が楽しめます。実写テストに持ち出したスタッフもそのデザイン、コンパクトさと軽さ、そして描写にウットリ。
2022年5月にフルOHおよび、Lマウント改造を施しました。美しいローレットが刻まれたワンオフのアルミ製中間リングは、純正品のようなしっくりくる佇まいです。丁寧な整備により、絞り、ヘリコイドの操作感も大変スムーズ。
距離計カムには特殊な改造を施し、最短撮影距離1mから無限遠まで連動バッチリに追い込んでいます。
オリジナルのレンズヘッドは使用感少なく綺麗です。LED光にかざすと前玉の裏にコーティングの傷みが見られますが、実写テストではその影響は見られませんでした。拭きキズは見られません。
試写館に作例を掲載いたしました。いずれも距離計、絞り開放での撮影です。逆光によるフレアを微かに入れると、とても印象的な絵となります。アンジェニューとはまた異なる描写が味わえる、魅惑的な一本です。