XEMOO。28万台のライツ・クセノン 5cm。本品は初年度の1936年に製造された136本のうちの1本。クセノンはトロニエ博士の設計による、戦前のライツを代表する大口径レンズ。シュナイダー社による製造で約6000本と多くは無い生産本数。本品はヘリコイド・リングのローレットが2本の前期タイプ、通称ツーバンド。六角絞り。5群7枚構成。本来はノンコートですが、後年ライツによってコーティングがなされた個体だと思われます。最小絞りはf9。距離はmeter表記。
絞り開放ではベールをまとったような、クセノンらしい繊細でやわらかな描写が楽しめます。木陰や屋内でややアンダー目で撮影すれば、このレンズの良さがより引き出せるでしょう。
たまたま古いライカの書籍を眺めていて見つけた小ネタをひとつ。このXenon 50mm f1.5にはXOOIM純正フードが用意されていましたが、Hektor 73mm f1.9の純正フードも適合します。当店でも早速試してみましたが、問題無く使えました！が、差し込み口が浅いので、落下にはくれぐれもご注意を。
本品にはライツによる淡いブルー系とパープル系のコーティングが施されており、一般的なノンコートの個体と比べて発色の良い写りとキリッと引き締まった写りが得られました。

当店販売品です。お客様に大切に使われ、この度当店に出戻ってきました。
鏡胴先端部にうっすら真鍮が見えています。全体的には使用に伴う軽微な擦れが全体的に見られますが、製造から85年を越える歳月を経たライツクセノンとしてはまずまず綺麗な外観です。アタリや凹みは見られません。
2022年にフルOH済。入念な整備により、重くなりがちなクセノンの絞りリングやヘリコイドの操作感は、極上の滑らかさ。距離計連動も全域でバッチリ。また、鏡胴内部の内面反射防止の艶消しラッカーも塗り直され、より引き締まった描写が得られるでしょう。
レンズには前玉に軽微な拭き傷やガラスのヤケ、中玉にごく薄いクモリが見られますが、クセノンは前玉や後玉が擦れ傷だらけでガサガサになった個体が多いだけに、なかなか良好なコンディションを保っていると言えるでしょう。
実写テストでもコーティングの恩恵が感じられ、色のりも良く良好な写りを味わえました。逆光下や強い光線の下では、フードの装着をお薦めします。試写館に作例を掲載しました。ご覧頂ければ幸いです。