イカレックス 35S TM 、M42マウント。1956年にフォクトレンダーの株式をほぼ100％取得したカール・ツァイス財団が、1966年にZeiss Ikon /Voightlander社を立ち上げました。イカレックス 35はその最初の新製品の一つ。フォクトレンダーとツァイス・イコンのWネームですが、ボディもレンズも実際はフォクトレンダーの工場が担当していた可能性が高いそうです。TMはThread Mount(スレッドマウント)の略で、M42マウント。
イカレックス 35Sはプリズムを固定とし、TTL露出計を内蔵したモデルで1970年にデビュー。しかしながら市場では既に日本製カメラが席巻し、翌1971年にはツァイス・イコンはカメラ部門の撤退を発表します。イカレックスは、名門フォクトレンダーとツァイスの長きにわたるカメラ史のラストを飾るカメラの一つです。
カメラ自体は使いやすく、国産一眼レフに慣れている方でしたらすぐに使馴染めるでしょう。
レンズは人気の凹み(へこみ)ウルトロン付。1950年登場のトロニエ氏設計のオリジナルのウルトロン 50mm f2レンズは5群6枚構成ですが、1968年頃には一眼レフ用に設計し直され6群7枚、50mm f1.8となりました。最短撮影距離は0.45m。バックフォーカスをかせぐために1枚目に凹みレンズが採用されています。(オフィスヘリア発行：「フォクトレンダー」より引用。名著です！)
本品はボディもレンズも綺麗なセットです。
ボディ、レンズ共に各部の操作滑らかです。露出計の作動もOKです。露出計を使う場合は、巻き上げレバーを起こした状態で、レンズマウント横の絞り込みレバーを押し込むと作動します。
使用感も少なく綺麗なボディ。外観に目立ったキズや凹みは見られません。レンズは中玉にわずかにホコリの混入が見られますが、ガラスにクモリや拭きキズは見られません。ウルトロンとしてはとても綺麗なレンズで、本来の描写をお楽しみ頂けるでしょう。
純正UVフィルター、キャップ、ボディ同様頑強な純正革ケースが付属します。